この前、SPRUDGEを見ていたら非常に素晴らしい記事を見つけました。
記事の内容はAnaerobic Fermentation(アナエロビックファーメンテーション)について。
アナエロビックという言葉自体を知っていたとしても、風味に影響するぐらいしか知らない人が多いらしいですよ。
そんな状況で幸運にもCafe importsの研究者兼教育者でもあるタヤブラウン博士が執筆した動画を見ればアナエロビックとは何かが理解できるというものでした。
アナエロビックって何?
言葉の意味
アナエロビックとは、まだコーヒー豆に実がついている際に酸素が無い環境で発酵したコーヒーを意味します。
Anaerobicという単語は(An aerobic)と「〜がない」のように否定の意味を持つAnが接頭語としてエアロビックについています。
エアロビックは酸素がある状態を意味し、従来のナチュラルやウォッシュトは厳密にいうならエアロビックナチュラルのようになります。
ただし、従来ではそれが当然でしたのでわざわざエアロビックなどと表記はしていませんでした。
よって店頭に並ぶコーヒーにはアナエロビックと表記され、エアロビックは表記されていないのですね。
勘違いされがちなこと
よく勘違いされるのですがアナエロビックファーメンテーションは新しい精製処理(プロセス)ではないです。
プロセス自体はナチュラル、ウォッシュトなどであり、あくまで新しい発酵方法。
細かいことですが知っておくべきですね。
実は難しいことをやっている
記事の中で触れられていますが、
・酸素が無い状態で過ごす時間 ・発酵タンクの種類 ・果物や酵母などの添加物 ・ロット(同じ作りですがタンクが異なる)
これら全てが味に影響を与える可能性があります。
ある程度の量を確保しようとするとそれだけたくさんの発酵タンクが必要なります。
そして添加物は同じ量を加えても、タンクの中の実への行き渡り方に気を配らないとロットごとの味のブレが起きると予測されます。
そもそも気温やその年のコーヒーの状態によって去年は美味しかったのに今年はイマイチということも珍しくないそう。
発酵方法を1種にすると、失敗した時に全て出荷できなくなったり、労力に見合った価格で販売できないリスクもあります。
ちょっとお高い理由
2020年頃から日本でも広まりだした記憶がありますね。
今ではそこまで希少性が高くなくなりましたが値段を見ると通常の(エアロビックの)ナチュラル、ウォッシュトプロセスに比べると一回りほど高い傾向があります。
従来の精製方法では現れないようなパワフルな風味になり得ることも価格に影響していることはわかりますが、動画を見てもらえると、かかっている「手間」と「リスク」だとわかります。
アナエロビックのイメージ
・空気に触れない発酵をしている ・風味が良くも悪くも強い ・価格が高い
特に風味の当たり外れが大きい(個人の感想)。
アルコール感がブーストされて、あまり余韻が良くない(個人の感想)のに値段が高いという・・・
何度も飲みましたが、美味しいと記憶に残っているのは某LEAVESのコロンビアぐらいですね。
コーヒーの風味の欄にSETOKAと記載があって
本当に「せとか」の香りがして感動しました。
確か2020年ごろで当時はあまりアナエロビックと意識してなかったのですが、それ以降は好みに合うものに出会えていないです。
これからどうなるか
一時期はどのお店もこぞってラインナップに加えていましたが、2024年現在は落ち着いています。
生豆の仕入れ原価がエアロビックの1.5倍以上することに対して味が1.5倍になるわけではありませんからね・・・
昨年のカップオブエクセレンス(その年に収穫されたコーヒーを集めて行われる品評会)を見ても、そこまで多くは入っていないようです。
中々に厳しい状況ですが、不安定な発酵という要素が数々のトライアルで確立されてもう少し手に取りやすい価格帯になってくれれば復刻もあり得そうですね。
個人的な好みですが、アルコールのような感じがなくなって、余韻の甘さが長くなってくれたら嬉しいです。
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少しでもアナエロビックについて知ってもらえたら嬉しいです。
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