知ればコーヒーが楽しくなる!
今回はコーヒー豆の生産処理(精製処理とも言われますね)についてのお話。
そもそもプロセスって何?
そう思われる方が多いと思うのですが、コーヒー豆ができるまで次のような過程を経ています。
収穫
↓
生産処理
↓
選別
↓
出荷
生産処理は味わいの骨組みとなる重要な過程です。
まず押さえておくべき2種はこちら
「ナチュラルプロセス」「ウォッシュトプロセス」
「ナチュラルプロセス」
収穫したコーヒーの実(チェリー)を果実がついた「そのまま」乾燥させる最も古いプロセス。
ブラジルで生まれました。
ナチュラル=自然なイメージのあるオーガニックや無農薬と混同されがちですが関係ありません。
乾燥させる前に再度ハンドピックして熟度の高いチェリーを選別する作業があります。
チェリーは乾燥が進むと青い未熟果実も完熟果実もまったく同じ黒いレーズンみたいな色に変色してしまうので、乾燥後の選別は目視では不可能・・・
手作業や比重選別で熟度をそろえる必要があります。
機械でも行われはしますが、人が目で見て一粒ずつピックする精度には敵いません。
選別が終わったチェリーをコンクリートの床や高床の乾燥棚に広げ、均一に発酵するように定期的に転がして、地域や天候によりますが10~30日程度乾燥。
雨が降った時や夜間はチェリーが濡れたり、結露することを防ぐためにシートで覆います。
とにかく手間がかかりますね!
乾燥させている間にチェリーの水分量は70%から保存に最適な水分量の10~12%まで落ちます。
雨が降らない乾季がはっきりとしている地域で主に行われています。
代表的な国はこのあたりでしょうか
- ブラジル
- エチオピア
メリット ・特に果肉除去や水洗発酵をする必要がないので低コスト デメリット ・収穫のピーク時に大量のチェリーを広げるスペースが必要 ・雨が多い地域では不可能 ・果肉がついたまま乾燥するので時間がかかる ・品質を高めるためには丁寧な手作業が求められる
「デメリット多くない?」と思われるかも知れませんが、クオリティの高いナチュラルの美味しさといったらもう、素晴らしい以外で表現できないですよ。
コクがあって、香り、味わい共にフルーツのように甘い印象。
もちろん本当にフルーツの味はしませんが、例えば良質なエチオピアのナチュラルは飲んだ瞬間にブドウが自然と思い浮かぶんですよね。
これから値段がいくら上がっても飲み続けたいですね。
「ウォッシュトプロセス」
降雨量と湿気が多くてナチュラルプロセスが行えなかったことで17~18世紀に生まれました。
呼び方は「ウォッシュト」だったり「ウォッシュド」だったりとお店によって微妙に違いますがどっちでも良いです。
こちらは名前の通りコーヒー豆をウォッシュ(洗浄)するからウォッシュトと呼びます。
山が多かったり、起伏に富んでいたりする国ではチェリーを乾燥させる面積を広くとれません。
また、山岳気候なので乾季でも収穫後に雨が降ります。
乾燥中に雨に降られるとバクテリアの働きによって、フェノール(薬品臭)や良くない発酵の発生リスクが高まりますので、乾燥期間はあまり長く取りたくないようです。
乾燥を早めるには果肉除去する必要があるのですが、ただ果肉除去だけ行ってもベタベタした粘液質(ミューシレージ)が残るので、保管や品質維持に向きません。それゆえに水を使って粘液質を発酵させて洗う方式がとられるようになりました。
ナチュラルプロセスと比べて工程が多いです。
コーヒーチェリーを水槽に入れる。完熟した実は重いので沈む傾向があり、未熟な実や不純物は水面に浮かびます。 ↓ 完熟した良いチェリーの皮と果肉をパルパーと呼ばれる機械で除去。 ↓ 果肉が除去されてもミューシレージが薄く残っているので、ミューシレージを分解して取り除きます。12~36時間ほど水槽の中に漬け込み発酵、分解します。 ↓ 豆をきれいな水に入れて洗う。この時再び選別が行われ、良い豆は沈んで悪い豆は水面に浮かぶ。 ↓ 高床の乾燥棚に広げて、水分量が10~12%に落ちるまで4~10日ほど乾燥。
湿気が多い地域やチェリーを広げて乾燥できるスペースを確保できない地域で行われています。
ウォッシュトプロセスを行っている代表的な国はこのあたり
- コロンビア
- ケニア
- タンザニア
メリット ・工程の中で良い豆の選別が何度も行われるので悪い豆が混じりにくい。 ・果肉がついていないので乾燥が早く、乾燥スペースを圧迫しない(生産効率が高い)。 デメリット ・水の使用量が非常に多く、廃水の処理が不十分だと化学物質が地域の水路に入る可能性がある。 ・パルパー等の設備の初期投資が必要。
欠点豆が少ないのでクオリティの面ではナチュラルより圧倒的に優れています。
味わいは透明感があってフローラル(もちろん全てがそうではないです)。
ナチュラルは甘さでしたが、こちらは酸味の印象がはっきりと感じられます。
飲み口はすっきりとしてクセがないので、毎日飲んでも飽きないですね。
「まとめ」
ナチュラルとウォッシュトについてまとめるとこんな感じ
▼ナチュラル プロセス:果肉がついたまま乾燥 味わい:コクがあって甘く、フルーティ ▼ウォッシュト プロセス:果肉とミューシレージを除去してから乾燥 味わい:透明感があって、酸味が心地よい
ナチュラルは甘さ、ウォッシュトは酸味がなぜ印象的か調べてみたところ次の2つが挙げられていました。
- ミューシレージの酵素、水の中にいる微生物によって豆が酸性になるので酸味が引き立つ
- 果肉が除去された豆は本来持っている糖が消費されるため相対的に酸が目立つ
国、地域、農園が同じでもプロセスが異なれば味わいは全く別になるのって面白いですよね!!!
圧倒的な甘さと飲んだ時のインパクトはナチュラルですね。
エチオピアのナチュラルに魅せられてコーヒーにハマる方は少なくありません。
ウォッシュトは華やかで飲み口が軽く、飲みやすいです。
私は毎日飲むなら絶対ウォッシュトですね。
豆自体のクオリティが高いので美味しいものと出会いやすい気がします。
コーヒーショップで豆を選ぶときに思い出してみてください。
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