【生産国紹介】ルワンダ産のコーヒーについて

Farm

こんにちは。

今回はアフリカのコーヒー生産国である「ルワンダ」について調べました。

正直、私はコーヒーを飲むようになるまではあまり特定のイメージのない国でしたね・・・

自分が勤めていたお店で取り扱うようになったことがきっかけで味わいや国に興味が湧いたことがきっかけで魅力に気づきました。

現在ではスペシャリティコーヒーを揃えるショップでよく見かける存在ですが、今日に至るまでの過程はけっこう複雑です。

ざっくりまとめ

ルワンダは国土が四国の4倍ほどの大きさで、人口は1250万人(2019年時点)ほど。

農業・林業・漁業がGDPの約25%を占め、大規模プラテーションがなく、多くの農民が小規模農地を所有しています。

主要な商用作物はコーヒー及び茶であり、高品質化により国際競争力を強化する政策をとっているようです。(過去は逆に質より量だったみたい)

一方で、内陸国のために輸送費が高いという問題も抱えており、これを克服するために経済特区の整備やICT産業の振興に注力した結果、驚異的な経済成長に成功しています。

2020年の生産量は20,459トン(世界シェア31位)。

主な品種はブルボン種です。

収穫時期は3~7月です。

これまでの歩み

ルワンダのコーヒー栽培は、植民地時代の1904年に外貨獲得の政策として始まりました。

ベルギーの植民地時代であった当時、コーヒーは経済の重要な原動力。
ただし、その価格はベルギー政府にコントロールされ、高い輸出税を課されながらコーヒーを栽培することを農家は強いられていました。

その結果、農家たちの低品質なコーヒーはコマーシャルグレードのコーヒーに使用される質の高い豆のフィラー(カサ増し豆)として使用され、ほとんど稼げませんでした。

この大量で質の悪いコーヒー輸出モデルは、1962年のルワンダの独立後も続いたそうです。

この歴史的搾取は今日の多くのルワンダ人がコーヒーを嫌い、お茶を好む理由を物語っています。

次の大きな変化は、1990年代に起きた世界のコーヒー価格下落危機とルワンダでの大量虐殺。

これら2つのイベントはルワンダとそのコーヒー産業に大きな被害をもたらし、2000年までコーヒーの洗浄と加工インフラは完全に壊滅し、コーヒーの栽培はほぼ無意味になってしまいました。

そこから産業が回復し始めるのに約10年もかかったと言われています。

現在のルワンダはコーヒー産業をさらに改善、拡大するために国家コーヒー戦略として高品質のコーヒーチェリー、つまりスペシャルティコーヒーの生産に取り組んでいます。

ルワンダ政府と他の国、そして個人投資家からの資金提供がこれを可能にしました。

現在の農家とその家族はより高く、より安定した価格の恩恵を受けています。

2005年ごろはセミウォッシュトが輸出量のほとんどでフルウォッシュトコーヒーは4%程度でしたが
2012年には33%までに増え、2015年に50%を達成し、今後さらに増やすことを目標としています。

これはナチュラルプロセスよりもウォッシュトプロセスの方が高い品質を確保しやすいためですね。

政府が高品質のコーヒー輸出に力を入れていたのでナチュラルプロセスのスペシャルティグレードのルワンダが登場したのは2017年とも言われています。

確か西部県ニャマシェケ郡にあるKilimbi CWSがナチュラル・ハニープロセスの輸出を政府に初めて認めさせました。

ナチュラルやハニーはまだまだ始まったばかり、クオリティはこれからさらに良くなるかもしれませんね。

加工と品質

生産量のほとんどがアラビカ種ですが、アラビカ種の中でも収穫量や病気に耐性を持つカトゥーラ種やカトゥアイ種がルワンダで生育が難しいため、原種に近いブルボン種が栽培されています。

ブルボン種は香りや味は優れていますが、収穫量は決して多くはなく、病気や害虫にも弱いことが欠点ですね・・・

小規模農家による生産が大半で大規模な投資が困難であることから施肥や害虫対策機材維持管理など栽培から剪定に係る技術不足による生産量不足と品質改善の遅れにより、輸出拡大が阻害されていたりします。

農家によって収穫されたチェリーは協同組合や民間企業の運営するコーヒーウォッシングステーション(CWS)に運ばれパーチメントに加工されます

CWSによるチェリーの買付方法は大きく下記の3つに分類。

1. 収集所を設け、決められた収集日に農家がチェリーを持ち込み、
   CWSがトラックを出してチェリーを買い取り・収集する
2. 仲買人が農家から買い集めたチェリーをウォッシングステーションが買い取る
3. 農家がCWSに直接チェリーを持ち込む

運び込まれたチェリーは農園別エリア別に分けずに一緒に一次加工されます。
→コマーシャルグレード

特別に質の良いチェリーが採れる地域のものは分けて加工される場合も。
→スペシャルティグレード

収穫後のチェリーはなるべく早くCWSに持って行って処理することが重要になっています。
時間が経過すると良くない発酵が行われてしまうからですね。

パーチメントは二次加工業者によって生豆に加工され、最終的に輸出業者を通じて海外の輸入業者に売られます。

ルワンダが直面するコーヒー産業の課題

スペシャルティ・コーヒーを始めとする高品質なコーヒーの生産を増加させることを政府主導のもと行っている一方で次の課題があります。

・生産量の隔年結果が激しく、安定しない
・CPUの急増の対応不足
・「ポテト臭」による輸出阻害

生産量の隔年結果が激しく、安定しない

コーヒーの木の老木化による収穫量低下や適切な管理の不足のため隔年結果(ある年に果実が多いとその翌年は少ないという現象を1年おきに繰り返すこと)が続いています。

苗木の増産や配布、老木の植え替えが足りていませんでした。
また老木の植え替えだけでなく、樹木再生や隔年結果防止のための剪定指導も必要。

CWS急増の対応不足

セントラル・パルパリー・ユニット(Central Pulpery Unit:CPU)はウォッシュトコーヒーへの加工工程で果肉を除去する際に用いられます。むらなく果肉を取り除け、豆を傷つけることがないことがメリットです。

ルワンダ政府が生豆の高品質化を図るためにCWSの建設を進めましたが、熟練スタッフの不足により品質や稼働率が上がらない実情があります。

せっかく数が増えても、新設されたCWSでは管理能力が低いようです・・・
生産プロセス毎にロットごとの品質管理ができておらず、品質のばらつきが発生している現状があります。

・「ポテト臭」による輸出阻害

アフリカの大湖地域にのみに生息するアンテスティオプシスという害虫がコーヒーの木に付くと、コー ヒー豆から「ポテト臭」と呼ばれる独特の臭みが発生します。

この欠点豆が輸出ロットの中に僅かに混在しているだけで全体の香味を損ない、スペシャルティーコーヒーとしての輸出が不可能となってしまいます。

害虫を防ぐことは必須ですが、スペシャルティ・コーヒーとしての輸出には農薬をなるべく使用しない方が望ましく

特に品質に対する基準が厳しい日本市場への輸出では、「ポテト臭」の問題が大きな阻害要因となっているようです。

結構長くなりました。

一通りは解説できたはず・・・

ポテト臭は気になるけど素晴らしいスペシャルティ・コーヒー生産国には変わりないのです。

おうちでルワンダを飲むときは一度にたくさん挽かないようにして楽しみましょう!(粉になってポテト臭が出ると悪いものだけを除去できないので全ロスになってしまう・・・)

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