こんにちは。
今回はエチオピアのコーヒーの概要と、その特色について解説します。
と言うのもエチオピアはコーヒーを語る上で外すことのできない国の一つだからです。
コーヒー発祥の地とされ、世界中に存在する品種のルーツといえます。
詳細な研究が行われていないため、もしかすると未知の品種が存在する森があるかも・・・
そう考えるとまだまだ可能性を秘めた国だと考えられますね。
今後さらなる発展が期待されるエチオピア。
ちょっと内容は難しいところもありますがコーヒー好きなら知っておいて損はないですよ。
ざっくりまとめ
2020年の生産量は584,000トン(世界シェア5位)。
主な品種は在来種(特定の地域に古くから存在する生き物)とされていましたが、
最近になって遺伝子的に区別されるようになりました。
⇨Dega, Walisho, 74110, 74112, 74158, 74165など。
収穫時期は11月~2月で、ニュークロップ(お米で言う新米)として日本に届くのは5~6月です。
代表的な生産地域はイルガチェフェ、グジ。
あとはゲシャ(あのパナマゲイシャに遺伝的に近いらしい)の育てられているベンチマジも有名です。
味わいは処理方法にもよりますがベリー、フローラルなニュアンスが感じられます。
処理別のフレーバー例 ナチュラル:ベリー、トロピカルフルーツ、グレープ ウォッシュト:フローラル、ピーチ、マスカット
生産形態について
エチオピアで収穫されるコーヒー豆は人為的に作られた大農園はほとんど存在しません。
小規模の生産者が下記にカテゴリ分けされる形態でコーヒーを育てています。
・フォレストコーヒー(Forest Coffee)
・セミフォレストコーヒー(Semi Forest Coffee)
・ガーデンコーヒー(Garden Coffee)
・フォレストコーヒー(Forest Coffee)
人の手が加えられてない野生で育てられているコーヒー。
木の剪定などメンテナンスが行われることはなく、古来から同じ状態で
コーヒーとその周囲に自生する植物が保たれています。
・セミフォレストコーヒー(Semi Forest Coffee)
少し人の手が加えられているコーヒー。
コーヒーの木の育成にあたり、シェイドツリーや他の植物と共生するための植樹、野生動物の管理、種子の成長を助けるための木々の管理などを行います。
・ガーデンコーヒー(Garden Coffee)
フォレストコーヒーを移植して行われます。
文字通り自宅の庭からもう少し大きな規模感で在来種を栽培。
以上のコーヒーはそれぞれが収穫された農園近くの加工所に運び込まれ、
ある程度大きなロットが作られます。
品質/グレードについて
エチオピアのコーヒー豆は水分値と豆の大きさが初期評価され、欠点豆でグレード分けが行われます。
水分値:コーヒー豆の重量あたりの含水量が11.5%以下
大きさ:スクリーンによる振り分け後に最低、重量の85%を保持
欠点豆:黒豆、発酵豆、カビ豆、異物、虫食い豆などの数
グレードは欠点豆が少ないものから1~9で評価されます。
ここで輸出されるものはグレード1~5だけ。
グレード1~3を取得した豆はスペシャルティーに値するかどうか
カッピングと呼ばれる手法で、実際に試飲して以下10個の項目でクオリティを評価されます。
・フレグランス ・フレーバー ・余韻 ・酸 ・ボディ ・均一性 ・バランス ・クリーンカップ ・甘さ ・総合
ここで高得点を獲得したコーヒーはスペシャルティコーヒーとして出荷されます。
オーガニックについて
エチオピア産のコーヒーは、そのほとんどがオーガニックであるされています。
これは化学肥料や農薬を購入することができないことが最大の要因です。
ただし、JAS認証などの認証を取得している農園は多くないです。
認証を取得するには厳しい審査を受ける必要があり、費用もかかってしまいます。
その割に通常より高値で販売できるわけではないので、わざわざ認証をとる選択はされません。
認証がないのでコーヒーショップに並ぶエチオピア産のコーヒー豆にJAS認証オーガニックのシールが貼られていることは珍しいです。
トレーサビリティについて
・トレーサビリティ
コーヒー業界では農園の栽培環境、肥料や農薬の使用状況まで生産・流通の履歴を遡れること。
簡単に言うと「いつ、どこで、誰が、どうやって作った」ことがはっきりしている感じです。
エチオピアで生産されるコーヒー豆はほぼすべてECX(Ethiopia coffee exchange)と呼ばれる政府機関に集められていました。
ECXに運ばれたコーヒー豆は混ぜられ、はっきりとした農園や地域がわからなくなってしまいます。
きちんと丁寧に育てられた豆と、そうでないものが区別されない状況だったんですね。
これに対してSCAA(アメリカスペシャルティーコーヒー協会)とスペシャルティコーヒーのバイヤーたちが生産者のモチベーションの低下による品質低下、どこで誰が育てているか全くわからないトレーサビリティの欠如に対して懸念を表ました。
やがてエチオピアコーヒー・ティー局は規則を緩め、2017年にVertical Integration(垂直統合)を許しました。
垂直統合とは、ECXを使用せずに直接取引を可能にするために輸出業者と生産者の間でやり取りを行うことです。
輸出業者は独自の倉庫の設立が認められ、コーヒーのサンプリング、採点、および全体的な品質をより詳細に制御できるようになりました。結果として生産者との対話が可能になり、トレーサビリティが向上したのです。
これまではイルガチェフェ、グジと言った生産地区にフォーカスされていましたが、近いうちに名門農園が登場するかもしれません・・・非常に楽しみですね!
コメント